はじめに 遠く、江戸時代の初期から幕末にかけて、錦帯橋で有名な岩国の錦見地区の一角に、武士の子弟たちが通う居合・剣術の道場がありました。その名を「神武場」といいます。そこでは、毎月一と六のつく日の午前中、いつも賑やかに竹刀や木刀の打ち合う音が響いていたと伝えられています。私たちは、そんな若き武士の息吹を今に伝えています。 「神武」とは、殺さないこと、戦う前に勝つことを意味し、武術の究極の理念を表しています。片山流の伝書には「武も神武に至らなければ、武とはいえないだろう。」と書かれています。
設立の趣旨 片山流は、居合術と剣術を主体とする武術の流派で、片山伯耆守久安(天正3(1575)年‐慶安3(1650)年)を流祖としています。 久安は、豊臣秀次、秀頼に剣術師範として仕えましたが、大阪夏の陣、豊臣家滅亡の後、片山家は武術の師範として代々岩国藩に仕えました。片山家による当流の伝承は明治の後まで行われましたが、時代の 潮流に流され衰退し、終には片山家八代武助先生の代をもって途絶えました。 庭田義穂先生(平成20(2008)年没)は、京都において吉沢一喜先生(伯耆流居合術星野派)に師事する傍ら、源流である片山流の研究に努められ、片山家御家伝の居合剣術の伝承に力を注がれました。 今回、その技法を今日に保存し、古流伝承に努める目的で、2013年5月18日「片山流神武之会」を設立しました。